気管支喘息とは

喘息とは空気の通り道である気管支の病気です。喘息の人の気管支は過敏で、種々の原因(アレルゲン、ウイルス感染、冷気等)によって気管支の粘膜が腫れてしまったり、粘膜からたくさんの痰が分泌されたり、、気管支の筋肉が縮んでしまったりして、気管支が細くなってしまうのです。
この細くなった気管支内腔を空気が通り抜ける時に、笛を吹くのと同じようにヒューヒュー、ゼーゼーという喘鳴が聞かれ、呼吸が苦しくなるのです。
喘息は発作が起きるととても苦しい病気ですが、発作がおさまれば普段と変わらないのが特徴です。
しかし、発作がない時にも気管支は慢性的にアレルギー性の炎症が起こっている事がわかり、炎症をおさえる治療を継続することが必要です。放置すると気道壁が厚く硬くなる構造的変化(リモデリング)がおこり、喘息が重症化し、難治性となります。



増えている気管支喘息

気管支喘息の有症率は近年増加しています。小児では人口の10%程度、成人では6〜10%程度まで増加しており、ほぼ10年毎に1.5倍程度の増加傾向になっております。小児では低年齢(乳幼児)、成人では高齢で有症率が高く、発症年齢も小児では乳児期に、成人では中高年に多くの発症がみられます。増加には住宅環境、生活様式の変化、大気汚染、ストレスなど要因が関与していると考えられます。

喘息で亡くなる割合は2011年には2060人と過去最低となり、1997年より減少傾向ですが、いまだ十分とはいえません。また重症の喘息だけでなく軽症、中等症の喘息から急激な経過で死亡する急死例があることや、65歳以上の高齢者の喘息死が9割以上を占めていること等が問題となっております。
今後は、若年者の喘息死を限りなく0に近づけることと、高齢者の喘息対策を進めることが重要です。


気管支喘息の診断


1)問診
典型例ではヒューヒュー、ゼーゼーという喘鳴、呼吸困難が発作性に反復します。特にそれらが風邪をひいたときや、過労が続いた後、大掃除をした後に起こりやすく、夜半、明け方に出現しやすいという特徴があります。

これらの典型的な症状を欠いた時には確定的な診断を得られない場合があり、気道過敏性検査などが必要です。
アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患が合併しているか、家族にもアレルギーの人がいるか、ペットを飼っているかなどを聞くことも重要です。

乳児喘息(2歳未満)の診断は初期には必ずしも容易ではなく、広義に捉えるため、明らかな呼気性喘鳴を3エピソード以上繰り返した場合に乳児喘息と診断します。

2)聴診
聴診器できくと、主に呼気時にピーピーという連続性ラ音が聴かれます。

3)検査
A:血液検査
アレルギー疾患のとき増加する白血球中の好酸球数、アトピー体質をあらわすIgE値、特異的アレルゲン検査(RAST)を調べます。

B:喀痰検査
自発痰や誘発痰を用い、好酸球、シャルコーライデン結晶(好酸球顆粒の結晶)、クレオラ体(気管支上皮の塊)の有無を調べます。悪性細胞、菌の培養検査は他の疾患の鑑別のために重要です。

C:胸部レントゲン写真
非発作時には特徴的な所見はありませんが、他の疾患、特に肺気腫との鑑別に必要です。

D:呼吸機能検査
一秒量やフローボリューム曲線にて中枢、末梢気道の閉塞の有無を調べます。
気管支拡張剤による反応性も検討します。
計算式より呼吸機能を予測し、現在の状態が年齢相応のどの程度かを判断します。

E:気道過敏性検査
喘息の特徴的な病態は非特異的刺激に対する気道反応性の亢進です。本検査は気管支を収縮させる化学物質を吸入し、気道の収縮反応を調べる誘発検査です。喘息の重症度とよく相関します。

F:呼気一酸化窒素濃度測定(FeNO)
呼気ガス中の一酸化窒素濃度を測定し、喘息の診断と管理に利用します。コントロールされていない喘息患者は正常者と比較し、高値を示します。今後の有用な検査です。

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